「発毛剤は医薬品なのか」「育毛剤とは何が違うのか」「市販の発毛剤と病院で出される薬はどう違うのか」。発毛剤を検討するうえで、その分類と位置づけの理解は意外と見落とされがちです。
この記事は、発毛剤が薬機法上どのように分類されるのか、育毛剤(医薬部外品)や医療用医薬品との違いは何かを、一次情報をもとに整理する内容です。分類を理解することが、目的に合った選択への近道になります。

1. 発毛剤は「医薬品」|医薬品と医薬部外品の違い
薬機法では、製品を有効成分の働きや目的に応じて分類しています。発毛剤のうち、ミノキシジルを配合した外用薬は「医薬品」に分類されます。
医薬品は、有効成分による効果が臨床試験で確認され、厚生労働省の承認を受けたものです。一方、育毛剤の多くが分類される「医薬部外品」は、抜け毛の予防や育毛、フケ・かゆみの防止など、症状の予防や緩和を目的とした製品です。「新しい毛を生やす」という効能が承認されているのは、医薬品である発毛剤です。
2. 発毛剤の区分「第1類医薬品」とは
市販可能な一般用医薬品は、リスクの高さに応じて第1類・第2類・第3類に分類されています。市販の発毛剤(ミノキシジル5%外用薬製剤)は、この中で最も慎重な取り扱いが求められる「第1類医薬品」にあたります。
| 区分 | 特徴 | 購入時の対応 |
|---|---|---|
| 第1類医薬品 | 市販薬の中で特にリスクが高いとされる | 薬剤師の確認が必要 |
| 第2類・第3類医薬品 | 比較的リスクが低いとされる | 薬剤師または登録販売者が販売可能 |
| 医薬部外品(育毛剤等) | 症状の予防・緩和が目的 | 通常の購入が可能 |
第1類医薬品である発毛剤の購入時には、薬剤師による問診票の確認、情報提供、適正使用確認が義務付けられています。これは、購入者が安全に使用できるようにするための仕組みです。
3. 推奨度A評価とエビデンス
医薬品である発毛剤の根拠として重要なのが、診療ガイドラインでの評価です。日本皮膚科学会『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版』では、ミノキシジル外用薬は「推奨度A(行うよう強く勧める)」と評価されています。これは、発毛に関して現時点で最も多くの科学的根拠が蓄積されている成分の一つであることを意味します。
ミノキシジルは、毛包の毛乳頭細胞に作用し、成長因子に関与する経路に働きかけると考えられており、毛周期の成長期への移行を促す可能性が示唆されています。医薬部外品の育毛剤には、こうした「発毛」の効能は承認されておらず、この点が医薬品との大きな違いです。
ただし、医薬品であることは「効果が確認されていること」を意味しますが、すべての人に同じ結果が得られることを意味するわけではありません。壮年性脱毛症の進行度や体質によって反応には個人差があります。

4. 市販の医薬品(第1類)と医療用医薬品(処方)の違い
同じ医薬品でも、市販できるものと、医師の処方が必要なものがあります。発毛に関わる医薬品を整理すると、次のようになります。
| 成分・剤型 | 区分 | 入手方法 |
|---|---|---|
| ミノキシジル外用薬 | 第1類医薬品(市販) | 薬剤師の確認のうえ市販で購入可能 |
| フィナステリド(内服) | 医療用医薬品 | 医師の処方が必須(全額自費の自由診療) |
| デュタステリド(内服) | 医療用医薬品 | 医師の処方が必須(全額自費の自由診療) |
なお、「発毛剤」という言葉は一般的にはミノキシジル外用薬を指すことが多く、フィナステリドやデュタステリドは発毛剤ではなく、壮年性脱毛症に対する医療用医薬品という位置づけです。市販で入手できる推奨度A評価の発毛成分は、ミノキシジル5%外用薬製剤(第1類医薬品)です。フィナステリド・デュタステリドは、脱毛を抑える内服の医療用医薬品で、医師の処方が必須(全額自費の自由診療)となります。なお、ミノキシジル内服薬は、日本国内では発毛目的での承認を受けておらず、正規の流通経路では入手できません。
5. 医薬品だからこその確認事項
発毛剤は医薬品であるため、使用にあたっては確認事項があります。購入時には、製品パッケージで「第1類医薬品」の表示、「5%」濃度の明確な表記(ミノキシジル5%)、販売元及び製造販売元(製薬会社名)の明記、製造番号や使用期限の記載、の4点を確認するとよいでしょう。第1類医薬品は、GMP(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)に準拠した管理が行われています。
使用しないでください・相談してください
本剤又は本剤の成分によりアレルギー症状を起こしたことがある方、女性、20歳未満の方、壮年性脱毛症以外の脱毛症の方、脱毛が急激であったり髪が斑状に抜けている方及び頭皮にきず、湿疹あるいは炎症(発赤)等がある方は、本剤を使用できません。今までに薬や化粧品等によりアレルギー症状を起こしたことがある方、高血圧または低血圧の方、心臓または腎臓に障害のある方、むくみのある方、家族や兄弟姉妹に壮年性脱毛症の人がいない方、65歳以上の方、甲状腺機能障害のある方は、使用前に必ず医師または薬剤師にご相談ください。ミノキシジルの成分特性による副作用(頭皮の発疹・発赤、かゆみ、かぶれ、ふけ、使用部位の熱感等。発赤は頭皮以外にあらわれることもあります。ほか頭痛・めまい・動悸・むくみ等)に気づいた場合は、ただちに使用を中止し、医師または薬剤師にご相談ください。
6. よくある質問
Q1. 発毛剤は医薬品ですか、それとも化粧品ですか?
ミノキシジルを配合した発毛剤は「医薬品」(市販の場合は第1類医薬品)です。化粧品や医薬部外品とは分類が異なり、「新しい毛を生やす」効能が承認されています。
Q2. 育毛剤は医薬品ではないのですか?
育毛剤の多くは「医薬部外品」に分類され、抜け毛予防や育毛、フケ・かゆみ防止などを目的とします。「新しい毛を生やす」発毛の効能は承認されていません。
Q3. 第1類医薬品はなぜ薬剤師の確認が必要なのですか?
第1類医薬品は市販薬の中でも特にリスクが高いとされる区分のため、安全に使用できるよう、購入時に薬剤師による問診票の確認、情報提供、適正使用確認が義務付けられています。
Q4. 市販の発毛剤と病院の薬はどちらがよいですか?
目的や進行段階によります。市販のミノキシジル5%外用薬製剤は「髪を生やす(攻め)」、医療機関では抜け毛を抑える内服薬(守り)と組み合わせた治療が可能なため、進行段階では医療機関での相談が選択肢になります。
まとめ|発毛剤は「医薬品」、育毛剤は「医薬部外品」
ミノキシジルを配合した発毛剤は医薬品であり、市販のものは第1類医薬品にあたります。「新しい毛を生やす」効能が承認されている点が、症状の予防・緩和を目的とする育毛剤(医薬部外品)との大きな違いです。
市販で入手できる推奨度A評価の発毛成分はミノキシジル5%外用薬製剤で、内服のフィナステリド・デュタステリドは医師の処方が必須(全額自費の自由診療)です。分類と位置づけを理解することが、目的に合った選択の土台になります。
参照資料
・日本皮膚科学会『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版』
・厚生労働省『一般用医薬品の区分(第1類医薬品)』
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)医薬品添付文書情報
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