抜けた髪の毛の根元をふと見て、毛根が黒っぽいことに気づき、不安になった経験がある方は少なくありません。毛根の色は、その毛がどのように抜け落ちたかを知る手がかりの一つとされています。この記事は、毛根の色(黒い・白い)が意味すること、色だけで判断しないための形の見方、注意が必要なケースを、毛周期の仕組みから整理する内容です。
毛根の色が生まれるしくみ|メラニン色素と毛周期
髪は成長期・退行期・休止期という毛周期(ヘアサイクル)を繰り返しています。成長期には、毛母細胞が活発に分裂すると同時に、メラニン色素をつくる色素細胞(メラノサイト)が働き、髪に色を与え続けます。この時期の毛根はメラニン色素によってしっかりと色づいており、根元には毛根鞘(もうこんしょう)と呼ばれる組織が付着しているのが特徴です。
一方、毛周期が進んで休止期に入ると、色素細胞の働きが弱まり、メラニンの供給が止まります。休止期の毛は、根元が丸く膨らんだ棍棒(こんぼう)状の形になり、色素が抜けて白っぽくなった状態で頭皮にとどまり、自然に抜け落ちる時を待ちます。
白い毛根が、一般的な自然な抜け毛の特徴
健康な頭皮では、髪の約85%が成長期、残り約15%が休止期にあるとされています。休止期を終えて自然に抜け落ちる毛は、前述の通り色素が抜けた白っぽい棍棒状の毛根を持つのが典型的な特徴です。髪は毎日一定数が自然に抜け落ちるもので、一般に1日あたり50〜100本程度の抜け毛は生理的な範囲内とされています。
毛根が黒い場合に考えられること
一方、毛根に色素や毛根鞘がしっかり残った状態で、黒っぽく見える毛が抜け落ちることもあります。成長期にある毛であっても、色素や毛根鞘が残った状態で抜けることがあります。ただし、毛根が黒いことだけで異常な脱毛と判断することはできません。成長期の途中にある毛が、何らかの理由で通常より早く抜け落ちた可能性を示すことがあると考えられています。摩擦や強い引っ張りといった外的な刺激、あるいは頭皮環境の変化などが要因として挙げられます。
ただし、黒い毛根の抜け毛が時々見られる程度であれば、過度に心配する必要はありません。人の頭皮では常に一定数の毛が入れ替わっており、外的な刺激で成長途中の毛が抜けること自体は起こり得ます。黒い毛根の抜け毛が明らかに増えた、または継続して見られると感じる場合に、注意して様子を見ることが大切です。
| 項目 | 白い毛根(棍棒状) | 黒い毛根 |
|---|---|---|
| 主な毛周期の段階 | 休止期を終えて自然に抜けた毛 | 成長期の途中で抜けた可能性がある毛 |
| メラニン色素・毛根鞘 | 抜けている | 残っている |
| 基本的な位置づけ | 一般的な自然な抜け毛の特徴 | 頻度が高い場合は要注意のサインになり得る |
| 日常での目安 | 特に心配のいらない範囲 | 本数の増加・継続が見られたら経過を注視 |
毛根の形にも注目する|色だけで判断しない
毛根の状態を見るときは、色に加えて「形」も参考になります。健康な休止期の毛は、根元が丸く膨らんだ棍棒状の形をしていることが多いとされています。一方、毛根が極端に細い、または毛根自体が見当たらず毛先が尖ったように切れている場合は、自然な脱毛ではなく、摩擦や引っ張りなどによる毛切れの可能性も考えられます。

毛根を観察するときの注意点
抜けた毛を毎回すべて確認するのは現実的ではなく、また1本の毛根の状態だけで一喜一憂する必要もありません。シャンプー時やブラッシング時に、抜け毛の本数や毛の太さがいつもと違うと感じたときに、あわせて毛根の様子を確認する程度で十分です。毛根の観察は、あくまで頭皮や髪の変化に早めに気づくための一つの手がかりとして活用してください。
こんな場合は注意が必要
次のような様子が続く場合は、自己判断で様子を見続けるのではなく、医師または薬剤師に相談することをおすすめします。
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黒い毛根の抜け毛が明らかに増え、それが数週間以上続く場合
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特定の範囲だけ地肌が目立つように薄くなってきた場合
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毛根の状態にかかわらず、頭皮にかゆみ・赤み・フケなど別の症状を伴う場合
これらは壮年性脱毛症をはじめとする脱毛症のサインである可能性があり、毛根の色や形の観察はあくまで気づきのきっかけの一つに過ぎません。
毛根チェックはセルフケアの一つの視点
毛根の色や形を観察することは、頭皮や髪の状態に関心を持つきっかけとして意味があります。ただし、これはあくまで日常的なセルフチェックの一つであり、医学的な診断に代わるものではありません。抜けた毛の状態は、採取したタイミングや観察条件によって見え方が変わる場合があります。毛根の色だけで頭皮や毛周期の状態を判断することはできず、抜け毛の本数、毛の太さ、頭皮の症状などをあわせて見ることが大切です。また壮年性脱毛症かどうかの判断や、進行度の評価は、毛根の見た目だけで自己判断せず、必要に応じて医師・薬剤師といった専門家の視点も取り入れることが大切です。
発毛剤との関係|毛根の変化は使用中の目安になるか
壮年性脱毛症の対策として発毛対策の中心となるのは、推奨度A評価の医薬品、市販ではミノキシジル5%外用薬製剤(第1類医薬品)です。ミノキシジルは、毛包の毛乳頭細胞に作用し、成長因子に関与する経路に働きかけると考えられており、休止期にとどまっていた毛包の成長期への移行を促す可能性が示唆されています。
使用開始から数日〜2 週間前後に、一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」と呼ばれる現象が起こることがあります。これは毛周期が休止期から成長期へ切り替わる過程で、それまで休止期にとどまっていた毛が本来の抜けるタイミングを迎えて抜け落ちるために起こると考えられており、副作用とは性質が異なります。この時期に抜けた毛の毛根を観察しても、色や形だけで発毛剤の効果を判断することはできません。効果の評価には、一般に4〜6か月程度の継続使用を目安に、毛量全体の変化を見ていく必要があります。

使用前に確認すべきこと
ミノキシジル外用薬製剤は医薬品であるため、使用できる方・使用前に相談が必要な方が添付文書で定められています。
次のいずれかに当てはまる方は使用しないでください。
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本剤または本剤の成分によりアレルギー症状を起こしたことがある方
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女性の方(男性用製品の場合)
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20歳未満の方
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壮年性脱毛症以外の脱毛症の方
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急激な脱毛、または斑状の脱毛がみられる方
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頭皮にきず・湿疹あるいは炎症(発赤)等がある方
次のいずれかに当てはまる方は、使用前に医師または薬剤師にご相談ください。
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薬や化粧品でアレルギーを起こしたことがある方
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高血圧または低血圧の方
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心臓または腎臓に障害のある方
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むくみのある方
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家族に壮年性脱毛症の方がいない方
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65歳以上の方
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甲状腺機能に障害のある方
ミノキシジルの成分特性による副作用として、皮膚(頭皮の発疹・発赤、かゆみ、かぶれ、ふけ、使用部位の熱感等。発赤は頭皮以外にあらわれることもあります)、精神神経系(頭痛、めまい)、循環器(胸の痛み、心拍が速くなる)、代謝系(原因のわからない急激な体重増加、手足のむくみ)が報告されています。なお、副作用が報告されているからといって、すべての人に起こるわけではありません。皮膚症状などの異変を感じた場合は、ただちに使用を中止し、医師または薬剤師にご相談ください。胸の痛みや動悸、めまいなどの全身症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
よくある質問
Q. 毛根が黒いと危険ということですか?
A. 黒い毛根の抜け毛がときどき見られる程度であれば、過度に心配する必要はありません。頭皮では常に一定数の毛が入れ替わっており、外的な刺激で成長途中の毛が抜けることもあります。明らかに増えた、継続すると感じる場合に注意して様子を見てください。
Q. 毛根が白いのは薄毛のサインですか?
A. 白く丸い棍棒状の毛根は、休止期を終えて自然に抜けた毛の典型的な特徴です。 多くの場合、心配のいらない自然な抜け毛のサインです。しかし、たとえ自然な抜け毛であっても細く短い毛ばかりが抜ける場合にはヘアサイクル(成長期)が短縮している可能性があり、薄毛リスクのサインになり得ますので注意が必要です。
Q. 毛根が見当たらない抜け毛は問題ですか?
A. 毛根が見られず毛先が尖っている場合、自然な脱毛ではなく摩擦や引っ張りによる毛切れの可能性があります。継続する場合は原因を見直すことをおすすめします。
Q. 発毛剤を使い始めてから毛根が黒い抜け毛が増えた気がします。異常ですか?
A. 使用開始から数日〜2 週間前後から3ヵ月頃まで一時的に抜け毛が増える初期脱毛が起こることがありますので、黒い毛根の抜け毛が増えても、必ずしも異常とは限らず、副作用とは性質が違います。ただし気になる場合は、毛根の色だけで自己判断せず医師または薬剤師にご相談ください。
Q. 毛根の色を良い状態に保つ方法はありますか?
A. 毛根の色そのものを直接コントロールする方法は確立されていません。頭皮を清潔に保ち、髪の材料となる栄養をバランスよく摂ることは、毛周期全体の健やかさを支える土台として一般的に大切とされています。
まとめ
抜けた毛の毛根が白く棍棒状であることは、休止期を終えて自然に抜け落ちた毛の典型的な特徴で、多くの場合は心配のいらない現象です。一方、色素や毛根鞘が残った黒っぽい毛根の抜け毛は、成長期の途中で何らかの理由で抜けた可能性を示すことがあり、本数が明らかに増えた場合は注意のサインになり得ます。
毛根の色や形は、あくまで日々の変化に気づくきっかけの一つです。抜け毛の本数や範囲に変化が続く場合は、推奨度A評価の医薬品、市販ではミノキシジル5%外用薬製剤(第1類医薬品)による対策や、医師・薬剤師への相談を検討することが土台になります。
参照資料
・日本皮膚科学会『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版』
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)医薬品添付文書情報
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